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2012/09/07
リッツ・カールトンと日本人の流儀
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ホスピタリティとは、生き方
ザ・リッツ・カールトン大阪が開業した時から「ホスピタリティ」という言葉を使い続けている。他社が、ホスピタリティをまだ明確に定義していなかったころからだ。ほかのホテルが「至高のサービス」「最高のサービス」と言っている時から「サービスを超える瞬間」を発想し、「ホスピタリティ」を目指していた...
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■今週の選書
■リッツ・カールトンと日本人の流儀
■高野登
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★本書の詳細、お買い求めは、
→ http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4591130533/tachiyomi
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■■選書サマリー
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ホスピタリティとは、生き方
【1】
ザ・リッツ・カールトン大阪が開業した時から「ホスピタリティ」
という言葉を使い続けている。他社が、ホスピタリティをまだ明確
に定義していなかったころからだ。
ほかのホテルが「志向のサービス」「最高のサービス」と言ってい
る時から「サービスを超える瞬間」を発想し、「ホスピタリティ」
を目指していた。
ホスピタリティとはどういうことか。「ホテル」だけでなく病院を
意味する「ホスピタル」や末期医療のための看護施設「ホスピス」
もホスピタリティの概念からきている。
身体や心の傷んだ人たちを治療する病院も、旅で疲れた人たちを癒
すホテルも、人としての尊厳を失わず生き切ることを望む人を支え
るホスピスも、突き詰めれば、同じところに行き着く。
【2】
たとえば「ハサミを貸してほしい」と頼まれた時、大概の人は、柄
のほうを相手に、刃の方を自分に向けて手渡すはずだ。極めて自然
なことだ。
もう一歩進んで考えて、3人から「ハサミを貸して」と言われたと
する。その時、同じものを3丁用意するのは、ごく普通のサービス
に過ぎない。
もし、3人がそれぞれ左利き、3歳の幼児、視覚障がい者だったら
どうか。使う相手の立場を考えて、左利き用、子ども用、視覚障が
い者用のハサミが準備できるか。それが、ホスピタリティだ。
【3】
世の中や人様のために働くことが、生きる証だ。お役に立てたと実
感できた時、人は成長する。成長とは「人の心に寄り添い、人の思
いを感じる力をつけることなのだ。
成功するためには「自分の年収の5%を、自分の成長のために投資
せよ」と言われる。だが、リッツ・カールトン本社のマーケティン
グ担当副社長のアドバイスは違った。それでは足りないという。
彼は、現在の年収でなく、自分が目指す年収の5%を投資せよとい
う。現在の年収が500万円なら、5%は25万円だ。だが、目指す年
収が1000万円なら、5%は50万円だ。
年収500万円の人が、年間25万円を自己投資に回すのは、今の自分
を維持するためにすぎない。より高いステージを目指すなら、自分
を磨き、成長させるために、50万円の投資が必要なのだ。
具体的な投資先は、色々ある。本を読む、セミナーに参加、意識の
高い人と会って食事をする、ボランティアに参加するなどだ。自分
に合った方法で、感性を磨き続ける習慣を身につけることだ。
【4】
自分を高め、自分を律するためにできることは、普段の生活の中に
もたくさんある。それは、日常生活で「誰もがやっていることを、
誰もがやらないレベルでやってみる」ということだ。
たとえば、ザ・リッツ・カールトン大阪では、スタッフが社員食堂
で販売しているペットボトルの飲料を、直接口をつけて飲まないよ
うに決めた。必ず、グラスに注いで飲むように習慣づけたのだ。
理由は、もともと日本の文化には、容器に直接口をつけて飲む習慣
がなかったからだ。お茶は急須から湯呑茶碗に、お酒は徳利からお
猪口に注ぐことが、日本の美しき文化であり、ふるまいだ。
普段、ペットボトルから直接水を飲む生活をしている人間が、お客
様の前でだけ、水差しからグラスに水を注ぐことをしても、しぐさ
はぎこちないものになるはずだ。
人間のしぐさや立ち居ふるまいというのは、普段の暮らし方や日常
の習慣が、ダイレクトににじみ出てしまう。少なくともお客様にサ
ービスをする立場にある人は、感性を鈍らせるべきではない。
リッツ・カールトンは、外資系企業だからこそ、日本人のふるまい
や文化を重んじる。これが「誰もがやっていることを、誰もがやら
ないレベルでやってみる」ということの意味なのだ。
★本書の詳細、お買い求めは、
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■■選書コメント
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「日本人は、どんな人間か?」「これから、どんな風に生きていくべ
きか?」について語る本です。著者は、世界的に有名なあのホテル、
ザ・リッツ・カールトンの元支社長、高野登さんです。
高野さんは、日本とアメリカで、それぞれ20年間、ホテルマンと
してキャリアを積まれてきました。その経験と仕事を通した出会い
を活かし、本書を書かれました。
アメリカでキャリアを積まれた方の本は「アメリカがどれほど素晴
らしいか」「日本はどれほどダメか」を語る本が多いですが、本書は、
そのようなところはまったくありません。
日本と、アメリカの良い点をあげつつ、改めて日本人の素晴らしさ
を教えてくれます。その上で、これからの日本人が進むべき道を示
してくれます。
実は、本書の発刊に合わせて著者の高野さんに、直接お会いするこ
とができました。私が、本書を読んで関心を持った、なぜこの時期
に、本書を書こうと思ったのかということを尋ねてみました。
ご本人いわく、やはり震災が大きいということです。あの時、多く
の日本人が、色々なことを考えました。まさに「日本人が、日本人
らしさを取り戻すチャンス」でした。
ところが、最近、多くの人にとって、早くも震災の記憶が薄れつつ
あるようです。ここでもう一度、じっくり考える機会を作りたいと
いうことで、本書を書いたそうです。
実際、本書を読んだことで「自分に何ができるのか」「何がするべき
か」を色々考えさせられました。自分と対話する対話する時間を作
るきっかけになるはずです。ぜひ、この時期に読んでみてください。
★本書の詳細、お買い求めは、
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