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2025/08/15
ネット炎上事例300
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ネット炎上の今
近年のネット炎上事例を振り返ると、これまでとだいぶ変わった点と何も変わってない点が混在している。炎上件数自体は増加の一途から一転、減少している。興味深いデータとしては、2024年の炎上の発生件数は、大幅に減少した。基本的に右肩上がりで推移してきたが、新型コロナウイルス禍で在宅時間が長くなったことを受けて一段と増加していた...
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■今週の選書
■ネット炎上事例300
■小林直樹
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■■選書サマリー
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ネット炎上の今
【1】
近年のネット炎上事例を振り返ると、これまでとだいぶ変わった点
と何も変わってない点が混在している。炎上件数自体は増加の一途
から一転、減少している。
興味深いデータとしては、2024年の炎上の発生件数は、大幅に減
少した。基本的に右肩上がりで推移してきたが、新型コロナウイル
ス禍で在宅時間が長くなったことを受けて一段と増加していた。
それが2021年をピークに頭打ちになり、24年大幅に減少したの
だ。たしかに減ったと感じる人も多いはずだ。発生数の減少は、企
業にとっても、個人にとっても朗報だ。
だが、炎上件数の減少が、炎上リスクの軽減には残念ながらつなが
っていない。特に内訳を見ると、減少したのは個人の炎上で、企業
の炎上については横ばいだ。
【2】
炎上の理由として挙げられるのが、Xの仕様変更だ。炎上拡散装置
であるXでは、投稿のインプレッション数に応じて広告収入が配分
されるようになり広告目的のアカウントが乱立した。
さらに、おすすめ欄に表示されるアルゴリズム変更で、フォロワー
が100にも満たない一般人の小規模アカウントの投稿でも、おす
すめ欄に表示されるようになった。
場合によっては、数千万単位のインプレッション数を導き出せるよ
うにもなった。誰もが発信できる時代の到来だ。炎上件数は減少し
ても、炎上1件あたりの規模、インパクトは増しているのだ。
炎上の流出経路も変わってきた。かつて、炎上の火種はミドルメデ
ィアが記事として取り上げることで世に知られた。その後インフル
エンサーが力を持ち、彼らへのタレコミが効果を持った。
今は、インパクトのあるネタなら、弱小アカウントでも投稿1発で
拡散することがある。企業アカウントの運用者にとってはいつ何
時、個人のXが突撃してくるかわからないシビアな事態になった。
【3】
炎上が起こりやすくなった要因として、もう一つ重要な点がある。
社会の分断が一段と加速した点だ。政治的スタンスは、保守寄りか
リベラル寄りかなどであれば、どこかに妥協点はあるものだ。
だが、現代の分断はどこまで行っても妥協しそうにもない分断だ。
国のあり方にひとつとっても、積極財政派と緊縮財政派の分断な
どは一致点が見だせない。
他国に手本を求めようにも、米国社会が分断の最たる国になって
しまった。様々な論点で相容れないもの同士が共存している状態は、
着火しやすい、可燃性の高い環境だ。
【4】
もう一つ、国内でもこの10年でコンプライアンス遵守ならびに多
様性、公平性、包摂性の意識がだいぶ進展・浸透してきた。たとえ
ば、性的な広告はほとんど見られなくなった。
だが、変化が起きている時は「まだ遅れている」と旗を振る人と、
「昔は良かった」と懐古する人の間に大きな分断が生じる。松本人
志騒動からフジテレビ騒動まで、溝が埋まる気配はまったくない。
そんな中、米国はトランプ政権に移行してからは「反DE&I」に
転じた。様々な価値観がぶつかる混沌時代を迎えたのだ。企業のS
NS担当者は、そんな環境下で発信を続ける必要があるのだ。
【5】
最後に、変わらないこととして、炎上の引き金になるのは、いつも
喜怒哀楽の「怒」の感情であるということだ。人気のSNSや投稿
端末、情報モラルは時代によって変化する。
だが、何をされると「カチン」と来るのか、すなわち、怒りの感情
をもたらすものは、ほとんど変わらない。だから、10年前同じパ
ターンの炎上が繰り返されているのだ。
企業の担当者はもちろん、一般のSNSユーザーも、炎上が頻発す
る中で、利用しながらも一抹の不安があるはずだ。対処法を学ぶに
は、頻出パターンとして、事例から学ぶべきなのだ。
★本書の詳細、お買い求めは、
→ https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296208004/tachiyomi-22
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■■コメント
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ネット炎上の事例集です。最近のネット炎上事件300件が、実例
として、類型ごとに分類され、解説が加えられています。そこから
自社の炎上防止や炎上時の対応に生きる学びが得られます。
スマートフォンの普及とSNSの浸透が両輪となって、ネット炎上
が増加の一途をたどってきました。加えて、昨今は社会における分
断も進み、炎上の破壊力は一層大きくなっています。
そんな中でも、企業の広告・SNS担当者は、会社の看板を背負い
ながら発信を続けねばなりません。何に気を付けて、どう対処する
べきか、事例から学びます。
炎上の形態は、媒体やコンテンツの変化と共に変化します。でも、
引き金は、いつも怒の感情であり、同じパターンが繰り返されると
いいます。だからこそ、対処の方法はありそうです。
企業もガイドラインや研修で対応していますが、対策に正解はな
く、自社の理念や方針に沿って都度決断が必要です。だからこそ、
事例から学んでおくべきというのが本書の企画趣旨とのことです。
具体的には、2025年炎上事件簿として、代表的な事例を紹介した
上で、ジェンダー炎上、不適切投稿、行為、広告、バイトテロなど
炎上の類型別に紹介していきます。
しかも、それぞれの事例について、どんなトラブルだったか、どう
受け止められたか、どう対応したか、得られる教訓は何かを解説し
ていきます。ネット利用者の教則本として役に立ちます。
というわけで、企業の広告宣伝、デジタルマーケティング、SNS
などを担当する方はもちろん、SNSをビジネスに活用している方
や個人で発信しているユーザーの方も必読です。
★本書の詳細、お買い求めは、
→ https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296208004/tachiyomi-22
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