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2002/05/24
エスキモーが氷を買うとき

エスキモーが氷を買うとき

著者のジョン・スポールストラは、NBAで観客動員数最下位だったニュージャージー・ネッツのチケット収入の伸びを全米1位に導いた人物。本書では彼のマーケティング手法とその哲学を彼自身のドラマから学ぶことができます。


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■■        ビジネス選書&サマリー
http://www.kfujii.com/TCY02.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【読者数8815部】━
=今週の選書=
■エスキモーが氷を買うとき ジョンスポールストラ(訳)宮本喜一■
                               きこ書房
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■本書の詳細、買いたい人!はクリック!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4877710809/tachiyomi-22
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■■           今週のサマリー

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著者のジョン・スポールストラは、NBAで観客動員数最下位だったニュージャ
ージー・ネッツのチケット収入の伸びを全米1位に導いた人物。本書では彼の
マーケティング手法とその哲学を彼自身のドラマから学ぶことができます。

【1】
  
ビジネスの成功を評価する指標は売上げだ。企業の問題の根は、すべて過小な
売上が原因だ。売り上げが多くて困った企業など見たことが無い。

多くの企業はこの不足を補うために増資をし、経費削減し、合併や買収をする
が、そうしたところで、結局いずれは売上げを伸ばす必要に迫られる。

そのためにあるのがマーケティングだ。もちろん潤沢な予算を使い、単に売り
上げを伸ばすだけでいいなら、その基本原則に従えばいい。

だが売り上げを限られた予算で、しかも急激に伸ばせねばならないなら、この
基本原則を縦横無尽に応用した"常識はずれなマーケティング"が必要だ。

もちろん必ずこれを否定する人間は現れる。彼らの否定理由は「他と違うから」
である。いつも彼らに対する防御策を立てておくことは大切なことだ。

【2】

"常識破りのマーケティング"のアイデアを生み出す方法は「今年業界で最高
のマーケティング部門になるには何が必要か」と自分に問うことだ。

普通は「どうすれば与えられた予算を達成できるか」「昨年より多くの利益を
確保できるのか」と考えている。だがこうした問いかけは間違いだ。

まずは、先に上げたような問いを考え、紙に書きワイシャツのポケットに入れ
る。それだけで、そのためにどうすればよいか、良い考えが思いつくはずだ。

もちろん資金には限りがある。だからこそ創造的な考えが必要なのだ。少ない
資金で衝撃的な効果を生み出すから"常識破り"なのだ。

【3】

「自分たちのあるべき姿、ビジョン」「自分たちが取り組んでいる事業は何な
のか」を正しく理解することはとても大事なことだ。

例えば、多くの鉄道会社は「自分たちは鉄道事業をやっている」と考えたため
に消えた。輸送事業をやっていると考えていたら、航空会社に取って代わられ
ることは無かったはずだ。

我々も以前は「スポーツチームの仕事はゲームを開催し、ファンにチケットを
売ることだ」と考えていた。しかし本当はエンターテイメントをしていたのだ。

このように周りを見渡せば、自分たちの事業を正しく理解できていない会社は
いくらでもある。

【4】

「できのよい新製品を開発していれば客が殺到する」と考えるのは間違いだ。
実際には「売れるかもしれないし、売れないかもしれない」スポーツチームも
「強ければマーケティングなど不要」と考えるのは間違いだ。

マーケティングの対象は、その企業に与えられたものに限られるのだ。経営者
やブレーンの能力、製品のできを相手にしても仕方が無い。

例えば、営業スタッフのてこ入れならできる。多くのセールスマンは「完璧な
製品をばかばかしいほど安い価格なら売れる」と考えている。

しかし、実際はスタッフの数を増やし、意欲をあげ、トレーニングし、電話の
回数を増やすことで、同じ製品を同じ値段で売ることはできる。

【5】

巨大な企業と戦う小さな新参企業は"常識はずれのマーケティング"をするべ
きだ。AOLも最初はコンピュサーブなどが席巻する市場の弱小者だった。

そこで彼らは39ドルで売っているソフトを無料でばら撒いた。コンピュータ
雑誌、機内食、冷凍ステーキなどあらゆるものに同封、自宅に郵送もした。

こうした非常識なやり方をしたからナンバーワンになれた。他と同じやり方な
ら市場のリーダーの巨大化を助けたに過ぎなかっただろう。

もちろん、サラリーマンにとっては、常識はずれなことを提案すること自体が
危険なこともある。そのためには実地検証が必要だ。

AOLも無料ディスク100枚につき10人の契約者が獲得でき、毎月接続料が
20ドル入ることがわかったからじゅうたん爆撃ができたのだ。

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■■          今週のコメント

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今週はマーケティングの本家本元アメリカで屈指のトップマーケターの著書を
紹介しました。本書は前作「エスキモーに氷を売る」の続編です。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4877710582/tachiyomi-22

彼の凄いところは、限られた資源を最大限に生かして驚異的成果を上げるとこ
ろです。使えるものなら、猫でも(実際はニワトリ。詳細は本書で)使います。

マーケティングというと多くの企業に「素人には太刀打ちできないもの」「お
金がかかるもの」という先入観があります。

だから、すぐ広告代理店まかせにしたがります。でもそれって代理店の作戦かも。
少なくとも彼らはマーケティングのプロですから、自社をマーケティングする腕
も高いでしょうからね。

広告予算が余っている会社なら、彼らの言いなりでゴールデンタイムにタレント
を使い、せっせと自社のイメージアップを図ればいいでしょう。

ですがほとんどの企業に、そんな余裕ありません。投じた費用はすべて回収し、
かつ売上げを上げなければ、このご時世、シャレになりません。もともと購買に
結びつかないマーケティングなんて、社員が地元の友人にエバれるくらいの効果
しか無いわけです。会社にとっては無駄遣いですよね。

でも本書で紹介される彼のやり方は、いずれも実際に会社にキャッシュを呼び込
む方法ばかりです。

彼のやり方に共通しているのは、どれもお客さんの心に直接働きかけるやり方で
あるところです。お金をかけずに、消費者の「買いたい」心理を直接揺さぶり、
魔法のように財布を開いていきます。

マーケティングって結局、人対人のコミュニケーションですものね。MBAでマ
ーケティングを学んだ人よりも、行列のできるラーメン屋さんや保険の外交、ヤ
クルトおばちゃんたちのほうが、優れたマーケッターであることが多いのはその
せいでしょうね。

売るものは問いません。とにかく、何か売らなければいけないあなた!必読ですよ。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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