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2012/09/21
二流を超一流に変える「心」の燃やし方
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マネジメントは、プロ野球の二軍監督に学べ
長引く不況下と成果主義にはさまれ、日本人と日本企業が摩耗している。私たちが、かつてのような競争力を取り戻すには、どうすればいいのか。答えは、プロ野球の二軍監督という職業にある。彼らの選手育成方法や組織統率の手腕を分析すれば、日本企業復活のためのヒントがゴロゴロ転がっている...
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■今週の選書
■二流を超一流に変える「心」の燃やし方
■野田稔
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■■選書サマリー
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マネジメントは、プロ野球の二軍監督に学べ
【1】
長引く不況下と成果主義にはさまれ、日本人と日本企業が摩耗して
いる。私たちが、かつてのような競争力を取り戻すには、どうすれ
ばいいのか。
答えは、プロ野球の二軍監督という職業にある。彼らの選手育成方
法や組織統率の手腕を分析すれば、日本企業復活のためのヒントが
ゴロゴロ転がっている。
伸び悩む若手やくすぶっているベテランの「折れた心」に火をつけ
る方法など、二軍には指導者として学ぶべき要素が、たくさんある
のだ。
現在、プロ野球の一軍を率いている監督を見ると、二軍監督出身者
が目立つ。選手同様、指導者にとっても、二軍は一軍に上がるため
のステップアップの場所なのだ。
【2】
一軍で求められるのは「結果」だけだ。対して、二軍監督に求めら
れるのは「人材の育成」だ。同じ監督でも、一軍と二軍では求めら
れる役割が違うのだ。
二軍では、一軍で経験できないことが学べる。それらは、指導者に
とって必要不可欠な要素だ。二軍とは、将来一軍で名将になるため
の実地研修が行える場所なのだ。
プロ野球の世界と違い、企業には一軍と二軍の境界線がない。誰も
が、自分のことを一軍クラスと思っている。だからこそ、マネジャ
ーは、二軍監督的な研修を意識的に行う必要があるのだ。
一般企業のマネジャーには「結果」だけでなく「若手の育成」も求
められている。つまり、一軍と二軍の監督両方の役割を担っている
のだ。
プレイヤーの経験があれば「結果」を残す方法はわかる。あえて、
二軍監督的な仕事、役割、意義に目を向けるべきだ。あなた自身の
成長、部下育成法、マネジメント術に、新たな光が差し込むはずだ。
【3】
短期間に成果ばかりを求める日本企業は、姿勢を改めるべきだ。そ
れができなければ、社員は疲弊してしまうし、企業自体も成長でき
ない。だからこそ、二軍監督的指導者が求められるのだ。
成果主義による「短期利益の極大化」は「長期利益を犠牲」にする。
人材の育成が損なわれれば、利益も失われる。これらを考慮に入れ
るのが、二軍監督型マネジメントだ。
優勝を義務づけられている一軍監督は、短期利益も長期利益も極大
化が求められている。しかし、優勝を目指す際、短期しか見ない監
督は、バランスの取れない意思決定をする。
たとえば「このピッチャーの肩が壊れてもいいから投げさせる」と
思っている監督がいるとしたら、そのチームは3年でガタガタにな
る。そういう発想をしないように、二軍を経験すべきなのだ。
【4】
人を育てるには時間が必要だ。武道や華道の世界に伝わる人材育成
法に「守破離」という言葉がある。まず「守」では師匠から流儀を
学び、その流儀を習得しようと努力する。
次に「破」では師匠の流儀を習得した後、他派の流儀を学ぶ。そし
て「守」と「破」の段階を経て「離」では何ものにも捉われない独
自の境地を築き上げる。
野球や芸能の場合、「守破離」は一度きりだ。野球選手が引退後に
ホッケー選手になることはないからだ。ところが、ビジネスマンは
違う。異動や昇格のたびに「守破離」を経て学び直す必要がある。
一軍の営業プレイヤーは「離」の段階にあるかもしれないが、彼が
マネジャーに転じれば、改めて「守」の段階から、学び直す必要が
あるのだ。
プレイヤーから、マネジメント業というアウェイの世界に飛び込む
のだから、最初は簡単にいかない。でも、だからこそ、リーダーと
しても、人間としても、さらに成長することができるのだ。
★本書の詳細、お買い求めは、
→ http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894515253/tachiyomi
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■■選書コメント
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人材の育成と再生の本です。プロ野球の監督、中でも二軍の監督と
そのマネジメント手法に、ビジネスを学ぶという、ユニークな着想
の本です。
なぜ、あえて二軍なのは、二軍の方が、企業に近いからです。たし
かに、会社は超一流の選手で構成された一軍より、やる気や能力に
ムラのある二軍に似ています。
力のない若手もいれば、やる気を失ったベテラン、スランプに陥っ
た人もいます。彼らを一つの方向に向ける方法は、二軍のマネジメ
ントに学ぶべきなのです。
著者は、テレビのキャスターなどとしても活躍される、コンサルタ
ントの野田稔さんです。本書でも、精力的な取材とユニークな視点
で、楽しく、分かり易く、人づくりを教えてくれます。
野球が題材になっていますが、本文で、しっかりエピソードを紹介
してくれますので、野球に興味や関心のない人でも十分、理解する
ことができます。
もちろん、本書は野球の本ではなく、ビジネスの本です。野球のエ
ピソードに、著者自身の体験などビジネスの実例を加えています。
さらに職場で活用する方法も詳しく紹介してくれます。
もちろん、それぞれが心理学の理論に立脚しています。たとえば、
学習無力感やキャリア・アンカー、ピグマリオン効果などを根拠に
しています。主観だけで書かれているわけではありません。
最近は、組織も流動化しています。管理職の立場でなくても、チー
ムをまとめる役割が期待されるはずです。そんなチームのリーダー
や、小さな会社の経営者にも、本書の一読をお勧めします。
★本書の詳細、お買い求めは、
→ http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894515253/tachiyomi
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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 Copyright 1999-2012
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