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2025/09/12
1+1が10になる組織のつくりかた
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社長が社長をしていない
日本の社長は、社長の仕事をしていない。特に中小企業の社長は、社長の肩書を持ちながら、社長がするべき仕事をしていない。これは大きな問題だ。本来、中小企業の社長の仕事は、マネジメント、すなわち経営管理であるはずだ。ところが、多くの社長がこの仕事をしていない。自分の仕事ではないと考えている社長さえいるくらいだ...
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■今週の選書
■1+1が10になる組織のつくりかた
■小松裕介
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■■選書サマリー
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社長が社長をしていない
【1】
日本の社長は、社長の仕事をしていない。特に中小企業の社長は、
社長の肩書を持ちながら、社長がするべき仕事をしていない。これ
は大きな問題だ。
本来、中小企業の社長の仕事は、マネジメント、すなわち経営管理
であるはずだ。ところが、多くの社長がこの仕事をしていない。自
分の仕事ではないと考えている社長さえいるくらいだ。
代わりに、社内では会議に出席するなどして経営モニタリングを行
い、社外では得意先や新規先にトップセールスをし、地元の財界団
体に顔を出して地域貢献活動に参加したりしている。
組織での役割を果たさず、会社の顔役としてモヤッとした活動をし
ているだけなのだ。まるで大企業の社長と同じような仕事をしてい
る。これでは社長の仕事としては不十分だ。
【2】
本来、中小企業の社長は、多くの社員を引き連れている。彼らをし
っかりと管理して、生産性を高め、効率よく働けるようにすること
だ。これが本当の社長の役割だ。
大企業の管理職も同じだ。管理職という肩書を持ちながら、管理の
仕事ができていない。管理職がマネジメントをせず、ただ過去から
続く業務を引き継ぎ、管理しているつもりでいる。
それでも、日本企業は回ってきた。誰もがこれを当たり前と考えて
きた。今日と同じ仕事内容、仕事の進め方が明日以降も続くと考え
ている。
だが、これから日本は未曽有の人口減少で働き手が減少する。すで
に生産年齢人口は、30年も経たないのうちに9%も減少した。こ
の現象は、少子高齢化に伴って、ますます進行していくのだ。
【3】
生産人口が減少する中で経済を維持するには、一人当たりの生産性
を高めるしかない。これまで1人が100の仕事をしていたところ
を同じ時間で200にするのだ。
特に、労働者の70%が中小企業勤務だ。ところが、中小企業の労
働生産性は、大企業の半分以下だ。彼らが日本の生産性を下げてい
るのだ。中小企業の生産性向上が不可欠なのだ。
だが、生産性向上に関する提言の多くは、中小企業の実情を理解し
ていない。多くが専門家の机上の空論で、現場が置き去りになって
いる。
壁になっているのが、マネジメントの弱さだ。その原因は、社長が
社員や組織に興味がないこと、社員がITの理解が乏しいこと、組
織的な実行力がないことなどだ。
そもそも、多くの中小企業は、組織にさえなっていない。それでも
それなりに回ってしまっている。だからこそ、関係者が危機感を持
ちにくいのだ。
【4】
生産性の向上には、チームのタスク管理をはじめとするマネジメン
トシステムの構築が必要だ。同時に、今の時代、システムの活用が
欠かせない。DXの正しい活用が不可欠なのだ。
組織の構築とコミュニケーションの整備をしてチームのタスク管理
をするうことだ。これこそが、業種業態も成長ステージも問わず、
チームや組織で動くために必要なマネジメントシステムだ。
もちろん、組織を構成する個人の能力の総和が組織力という側面も
ある。残念ながら、中小企業では、社員のスキルやモチベーション
が大企業と比べて総じて低い傾向がある。
だが、ビジネスモデルとマネジメントシステムが構築できれば、
個々の社員の能力差やモチベーションなど大したことではない。こ
れらに左右されず、安定的な経営ができるようになる。
以上のように、経営資源の乏しい中小企業こそ、組織力を獲得する
ためにマネジメントシステムの構築を急ぐべきだ。正に優先して取
り組むべき課題なのだ。
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■■コメント
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組織開発の本です。特に中小企業の生産性向上を目指し、組織化と
DX化の具体的な方法を教えてくれます。これらを通して企業の価
値向上を実現することができます。
人口減少を迎える日本では、一人当たり生産性の向上が喫緊の課題
です。中でも、中小企業の組織改革は不可欠です。その具体的な方
法がわかり易く解説されます。
著者は、中小企業の企業価値向上を実現してきたプロ経営者です。
そんな著者が、20年間の経験をもとに組織開発について理論と実
践の両面から解説してくれます。
はじめに中小企業の生産性が上がらない要因を解き明かします。
その上で解決方法を提示します。具体的には、組織化ができていな
いことであり、根底に危機意識の希薄さがあるとします。
続けて、組織化の具体的な進め方を提示していきます。具体的に
は、コミュニケーションの整備やチームのタスク管理をすることで
す。これによりチームや組織で動くことが可能になります。
単なる理論書でなく、実務家による実践の書になっています。正に
現場を置き去りにしない内容です。読んで実践すれば、業績が改善
し、企業価値が高まるはずです。
これらを通して、生き残る中小企業を増やすことでば、日本の経済
力の改善をすることも可能だと言います。正に国を挙げて取り組む
べき課題なのです。
中小・中堅企業やスタートアップの経営者はもちろん、大企業の管
理職など、現場でチームや組織を率いる責を担っているすべてのリ
ーダー層が読むべき一冊です。
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